第2章 黄瀬の「き」はキモいの「き」!
「損得関係なくあんなに人に優しく出来る女の子なんて初めてで。素直にすごいって思ったッス。それ以来彼女のことばかり考えるようになって、彼女ならああするだろうなーとか、彼女だったらこういうときなんて言うだろうとか考えているうちに、彼女のこと好きだって自覚したんスよ!寝ても覚めても彼女の顔が頭から離れなくて…バスケットボールまで彼女の顔に見えるくらい!」
「お前、好きな女の顔を床やゴールネットに叩きつけていたのか…?!」
「うわ〜そう聞くと黄瀬ちん最低ー」
「恋もそこまで行くと恐いのだよ」
「ていうか、黄瀬くんキモいです」
そこ!聞こえてるッスよ!!
「もう毎日、彼女に”会いたくて会いたくて震える”くらいに好きになってて!あのときはオレが初めて恋をしてさらにキラキラ輝いてるから、いつも以上に女の子達に囲まれちゃって参ったんすよね」
「お前は西野カナに謝れ」
赤司っちが西野カナ知ってることに吃驚ッス!!
「それでそれで?詩音ちゃんと、どうやって付き合うことになったの??」
オレの味方は桃っちだけみたいだ。
目をキラキラさせて食いついてきた。さすが恋する女子。
「話せば長くなるんすけどね…
とりあえず携帯の受信記録で電話番号はわかったから、電話してみたッス。御礼なんていらないって何度言われたかわからないくらい毎日電話したッス。それでも会ってくれなさそうで諦めかけたそのとき、あの日彼女が着てた服と学校行くって言っていたのを思い出して、電車を使わずに行ける範囲にある灰色のセーラー服が制服の学校を調べて、一件だけヒットしたんでそこに行ってみたッス!願いが通じたのか彼女に会えて、思い切って告白したッス!でも吃驚したのか断られちゃって。今までオレから告白したことも、ふられたことすらなかったからショックだったけど、それでも諦めずに何度も何度もアタックして、一ヶ月告白し続けてようやくOKもらったッス!愛の力が伝わったッスね!」
「「「「「「…………」」」」」」
オレが若干ドヤ顔で言い終わると、なぜか皆ドン引きしていた。
味方だと思っていた桃っちまで、顔が引きつっているのはなんでだ??
「お前…それ…」
「いわゆるストーカーってやつじゃないですか?」
なん…だと…