Happy Flower~幸運をあなたに~【刀剣乱舞】
第3章 うちの本丸
声に驚いた長谷部と私は、開いた襖の方に目をやる。
「はは、これは驚きだな。この俺が今日2回も驚かされるとは・・・」
そこには、目をぱちぱちとさせた鶴丸が立っていた。
「つ、鶴丸!!急に襖を開けるなど、なみ様に失礼だぞ!」
と、怒る長谷部。
「いやいや、急に開けられて困るようなことをしているのもどうかと思うがなぁ・・・」
私を膝枕したままで怒る長谷部に、半ばあきれ顔で鶴丸が言う。
確かに、この状況で怒ってもねぇ・・・
私は、長谷部の膝から起き上がると
「鶴丸~、人の癒しの時間を邪魔するな~」
とふくれっ面で言ってみる。
「それはすまなかった」
と素直に謝る鶴丸に
「じゃあ、今度は鶴丸が膝枕してよね」
と、このことは他言無用の雰囲気を出しながら言う。
「ご希望とあらば、膝枕だけじゃなく添い寝もするぞ」
と言う鶴丸に
「調子に乗るな!!」と勢いよく立ち上がり鶴丸の方に向かっていく長谷部。
すると鶴丸は
「おっと、これはひとまず退散した方がよさそうだ。なみ、またあとで迎えに来る!!」
と言って、廊下を走って行った。
それを追いかけていく長谷部。
機動力ナンバー1から逃げ切れるのかな・・・。
そんなことを思いながら、私は書類を持って兄の所へ向かった。
兄の部屋へ向かう途中、中庭に目をやるとバラのつぼみが開き始めていた。
バラの花は、父と母の思い出の花でもあり、花の効能としても「弱った体にエネルギーを与える」と言われている。
いつも歌仙や短刀達がお世話をしてくれているから、今年はたくさんの花が咲くであろう。
「ふふっ、楽しみだな」
私は、ほのかに香る花の香りと共に廊下を進んだ。