Happy Flower~幸運をあなたに~【刀剣乱舞】
第3章 うちの本丸
すべての書類が完成し、私は「ん~~」っと伸びをした。
「長谷部、本当にありがとう。おかげですごく早く終わらせることができたよ」
そう言って、私はこてんと後ろにひっくり返る。
畳の上にひっくり返って、そのままゴロゴロと長谷部の方に転がってみる。
そんな私を見て、長谷部がオロオロしているのがなんだかおかしくて、ちょっとイタズラ心が湧いた私は、転がった勢いで長谷部の膝に頭を乗せた。
「なみさ・・ま?」
みるみる真っ赤になる長谷部。
そう、この状況は私が長谷部に膝枕をしてもらっている状態で、見上げた先にはさらに真っ赤になっている長谷部の顔があった。
「ん~、膝枕最高!!」とすりするしてみる。
あ、ちょっとやりすぎたかな・・・と思い恐る恐る顔を上げてみると、すごく真剣な顔をした長谷部と目があった。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
ちょっとした沈黙の後、長谷部は私に向かってこう言った。
「なみ様、そんな風に甘えられてはどうしていいのか・・・私にはわかりません。なみ様は主の大切な妹君であり、私達にとっても大切なお方です。そのような方を私が・・・」と言いかけたところで、私の手が長谷部の口を押える。
もう、ほんと真面目なんだから。
だけどそんなところが長谷部のいいところなんだけど。
「ねぇ、長谷部。甘えちゃダメ?長谷部に甘えたくなったから、撫でて欲しかったからこうしてるんだけどな。それじゃあ理由にはならない?」
見上げた状態で長谷部に聞いてみる。
すると長谷部の手が、ゆっくりと私の頭を撫で始める。
「なみ様・・・そんなかわいい事を言わないでください。・・・いえ、私以外の者には言わないでください。なみ様が望むなら、私はいつでもこうして差し上げます。これは主命でもなんでもなく・・・私がこうしたいと思っているからです」
優しく優しく撫で続ける長谷部の手は本当に気持ちが良くて、もう少しこうしていたいと思ってしまう。
昔、父にこうしてもらった記憶が蘇ってきた。
しばらくこうしていてもらおう・・・とゆっくり目を閉じて
長谷部の体温を感じていると、スパンッと部屋の襖が開いた。
「なみ!面白いものが見れる・・・ぞ?」
視線を向けると、そこには襖を開けたままの状態で固まっている鶴丸の姿があった。