Happy Flower~幸運をあなたに~【刀剣乱舞】
第3章 うちの本丸
朝餉を終えた私は、政府に提出する書類を書くのに追われていた。
出陣の戦果の報告や遠征の報告。
要望や計画書など・・・数えればきりがない。
ここの主・・・私の兄は、部隊の編成や刀剣達との作戦会議などで忙しいので、事務処理は私がやることが多かった。
もちろん、私も審神者だ。
鍛刀もするし手入れもする。
刀装を作ったりもする。
私が鍛刀した刀剣達は、私を主とするのだが、部隊の編成は兄の刀剣達と一緒にしている。
だから、私の呼び方もみんなそれぞれ違うのだ。
基本的に、兄の事は主と呼び私の事は名前で呼んでもらうようにしている。
兄は、高校卒業後すぐに審神者になる道を選んだ。
私同様、他人とは少し違う能力を持っていたので、1年間の研修ののち審神者として本丸を持つことになった。
その時私は、現世で普通の学校生活を送っていた。
現世とこちらの世界の行き来は、審神者の親族のみ許されていたので、長期の休みがあると兄の本丸によく来ていた。
なので、兄の刀剣達とは私が審神者になる前からの顔見知りだ。
彼らは、私の事をとても可愛がってくれた。
政府の了解を得て審神者の助手として手入れなどもしていたし、身の回りの世話もしていた。
私は、優しくて強い彼らが大好きだ。
彼らは兄の事を主として慕い、兄も彼らを家族同様に大切にしていた。
兄は、私には現世で普通の人生を送って欲しかったらしい。
普通に恋をして、結婚をして、子供を作って家庭を作る。
当たり前の幸せを掴んでほしかったと、いまだに言っているからどうしたものか・・・。
私が審神者になる事を決めた時、兄は反対をした。
でも私は引かなかった。兄と兄の刀剣達と一緒に居たいと、力になりたいと思っていたからだ。
戦場に出て戦う彼らを支えたかった。誰ひとり失うことなく・・・もう、あの時のような思いはしたくなかったしして欲しくなかったからだ。
審神者の研修は兄の所でやらせてもらえることになった。
兄の刀剣達は、私が来ることをとても歓迎してくれた。
研修を終えた私は、政府に兄と一緒に本丸を持たせて欲しいとお願いをすると、すんなりとOKが出た。
兄と私は、審神者の中でもかなり優秀らしく、刀剣達の錬度も高いらしい。
そんな流れで、今の本丸が出来上がったのだ。