Happy Flower~幸運をあなたに~【刀剣乱舞】
第2章 新しい私
「一期も大胆だなぁ・・・」
鶴丸は、真っ赤になって慌てている一期に向かってそう言った。
「つ、鶴丸殿・・・これは・・・」
鶴丸の言葉に、更に赤くなる一期。
「鶴丸、あなたこそどうしたの?」
一期と抱き合ってるところを見られて少し恥ずかしかったが、なぜこんなところにいるのかの方が気になったので尋ねてみた。
まあ、さしずめどこかにいたずらでも仕掛けていたのだろうが・・・。
彼、鶴丸国永は毎日驚きを求めて、また人を驚かすことに関しての情熱は人一倍だ。
その彼が、こんな時間にこんなところにいるのだから疑わずにはいられない。
すると
「ははっ、ちょっと用があってな。しかし、朝から驚かせてもらったぞ」
と鶴丸は満面の笑みで答える。
はいはい・・・
私は、鶴丸が本丸のどこかにいたずらを仕掛けてきたことを確信した。
今日は、誰がそのいたずらの餌食になるのだろうか・・・。
「鶴丸、朝餉の準備ができていますよ。早く広間に行ってください」
そう私が言うと
「キミたちもだろう?、さあ、一緒に行こうではないか」と私の手を掴んで歩き出した。
「鶴丸殿!」
半ば引っ張られるようにして連れて行かれる私を、一期はあわてて追いかけてくる。
「一期よ、あまり過保護なのもどうなんだ?弟たちと同じようになみ様を扱うのはなぁ・・・」
と意味深な言葉を言って、私の顔を覗き込んできた。
確かに・・・。
一期は、弟である短刀達にも過保護なところがある。
あ、私も同じなのか。
ちょっとさみしい気もするが、それはそれで良かった。
大切にされている事には変わりはない。
「そうだね~、鶴丸。一期は過保護だね」
私が笑ってそう言うと
「そうだろう?俺ならもっと大人の女性として扱うのになぁ」
と、ぐいっと私を引き寄せた。
「わぁっ」
体勢を崩した私は、鶴丸に抱きしめられる形になってしまった。しかも、顔が近い・・・。
チュッ
「!?」
頬に、柔らかい感触が・・・
鶴丸さん、どさくさに紛れてキスしましたね?
当の本人は、何食わぬ顔・・・。
そして、小声で「どうだ、驚いたか?」なんて言ってくる。
もう、今日は朝からなんなんだ??
三日月といい、一期といい、鶴丸といい・・・
広間に着くころには、私はすでにぐったりしていたのだった。