Happy Flower~幸運をあなたに~【刀剣乱舞】
第2章 新しい私
「なみ様、起きていらっしゃいますか?」
襖の向こうから、聞きなれた声が聞こえた。
「今起きましたよ、一期」
「左様ですか。もうじき朝餉の時間です」
「わかりました。準備をしたら行きますので」
一期一振
私がここに来て、初めて鍛刀した刀。
そして、私の近侍である。
ちょっと過保護なところがあるのか、毎朝私を起こしに来るのだ。
「おはようございます」
支度をして広間に行くと、もう朝餉の準備ができていた。
「なみ様!おはようございます!!」
そう言いながら、短刀たちが駆け寄ってくる。
「五虎退、前田、おはよう」
そう言って、私が二人の頭を撫でると
「私も!!僕も!!」
乱や藤田、秋田までもが私にくっついてくる。
「こら、お前たち。なみ様が困るではないか」
一期の声が聞こえてくる。
「いいんですよ、一期。はいはい、順番ね」
そう言って、短刀たちの頭を順に撫でていく。
「小夜?あなたもいらしゃい」
そういうと、小夜は私の足元にギュッとしがみつき
「おはよう、なみ様」と言ってくるから、かわいくて仕方がない。
いつもの朝の光景である。
「おはよう、なみ」
「あ、おはよう!お兄ちゃん!」
この本丸の主である兄がやってきた。
「主様!おはようございます!!」
「おはよう、大将」
広間に集まっていた刀剣達が次々と兄に声をかける。
「全員そろったかな?」
食事担当の光忠が台所から顔をのぞかせた。
「光忠、おはよう。まだ何人か来ていないみたいだけど」
私がそう言うと
「ありがとう、なみちゃん。もしよければ呼んできてもらえるかな?」
「いいよ、呼んでくるね」
私はそう言って、まだ広間に来ていない刀剣達を呼びに行くことにした。
「ええと、まだ来ていないのは・・・三日月と鶯丸と、兼さんと・・・」
いつもの常習犯ばっかりじゃん。
そんなことを思いながら廊下を歩いていると、誰かにギュッと腕を掴まれた。
「キャッ」
倒れそうになった私は、その犯人に抱きとめられていた。
「おはよう、なみ様」
目の前にあるのは、綺麗な顔。
「三日月、近いよ・・・」
今にも、キスができそうなくらいの距離に私の顔は真っ赤だ。
たぶん、確信犯。
毎日こうじゃ、私の心臓が持たない。