第1章 序章「異世界の海から」
一時間後、料理が出来た。居間では、船から降りてきた全員がわいわいと何か話している。
「どうぞ。お口に合うか分かりませんが…」
「んほぉー!!!んまほぉー!!」
とりあえず、この麦わら帽子の青年がとてもよく食べる事は知っていたので、冷蔵庫にあるほとんどの材料を使って料理をした。
皆が料理に手を伸ばし、口に運ぶ。
「あら、おいしいわ」
「うめぇー!!」
「お嬢さん、やるじゃねぇか!これはうまい」
思い思いに嬉しい感想を述べてくれる。
こうして大勢で食事をするなど初めての経験だ。先ほどまで食欲のなかったも、料理に手をつけた。
すると、緑色の髪の青年がじっとこちらを見ている事に気付く。
「ゾロさん、どうかされましたか?」
「…別に」
青年は顔を背ける。は首を傾げたが、食事にまた戻る事にした。
皆が一通りたいらげたところで、オレンジの髪の女性がに質問をぶつけた。
「ここはなんていう島なの?」
「ここは、ニホンという島国です」
「ニホン…聞いた事ある?みんな」
「いや、ねぇ」
「あんたの記憶はアテにしてないわよ」
しかしそこにいる全員が首を横に振った。
「それはそうです…だって、ここはあなた方の旅してきた世界とは違うんですから」
「お前、さっきから奇妙な事言ってるな。ちゃんと分かるように説明しろ」
「…はい」
は、まず麦わらの青年を見た。
「あなたが、ルフィさん」
そして、緑色の髪の青年。
「あなたが、ゾロさん」
オレンジの髪の女性。
「あなたが、ナミさん」
鼻の長い青年。
「あなたが、ウソップさん」
金髪の青年。
「あなたが、サンジさん」
たぬきに似た動物。
「あなたが、チョッパーさん」
黒い髪の女性。
「あなたが、ロビンさん」
ガタイのいい大きな男性。
「あなたが、フランキーさん」
ガイコツの男性。
「あなたが、ブルックさん」
ひとりひとりを見ながら、そう呟くように述べる。
「…合ってますか?」
「ええ、確かに合っているわ。でも、私たちは麦わらの一味。名前と顔を知っている人は少なくない」
「ロビンさん、私、生まれてこの方、手配書なんてものを見た事はありません」
「え…」