第2章 第一章「ニホンの忌まわしき存在」
「そ、そういえばルフィさんはゴム人間なんですよね」
その場の空気を切り替えるように、が言った。すると、ルフィはにっこり笑って首肯し、腕を伸ばしてみせた。
「すごーい!じゃあ、このロープをそうやって持っていてくださいね」
洗濯物を干すロープの端をルフィに持たせ、高くに掲げさせたままの体勢で、はその場を後にしようとする。
「任せろ!………って乾くまでこのままか!?」
「人の下着を被った罰です」
輝く笑顔でそう言い残すを見て、サンジとルフィはこの子は怒らせると意外に怖い事を思い知った。
「あれ、ウソップさん、何してるんですか?」
「いや、が書いた日記読んでたんだ」
「なにか気になる事でも?」
「…俺をもっと勇敢に書いてくれよぉ!!」
「あ、はは…でも、ウソップさんは勇敢なところもありますよ。リトルガーデンの時なんか、すごい機転が利いてましたし」
「そ、そうだろ!?」
ウソップは微かに頬を赤らめ、誇らしげに胸を叩いた。
そうして屋敷の中を歩くと、九人が皆思い思いになにかしらしている。
つい先日までこの大きな広い屋敷には、自分ひとりしかいなかったというのに、いつの間にかどの部屋を覗いても誰かしらがいる。
はそれだけで自分が救われたような思いがしていた。
「あーーーー!!!!」
夕方近くになり、突然ルフィの叫び声がしたので、皆が屋敷の外を出た。ルフィは律儀にまだ洗濯物用のロープを掲げている。
「どうしたんですか!?…あ、それもうそこに結んでいいですよ」
「俺とした事が忘れてた!!」
「何をよ?」
「せっかくと仲間になったのに、宴をしてねぇ!!」
「…そんな事でいちいち大声出すんじゃねぇ」
「じゃあゾロは参加しねぇんだな」
「するよ!!」
「よし、サンジ、飯の準備だ!!、酒あるか?」
「あ、はい。でも、あの…」
「まったく何かっていうとすぐ宴だ宴だって…」
「いいじゃないか!楽しそうだぞ!」
戸惑うを置いて、なんだかんだ文句を言いながらも準備を始め出す九人。
どうしようか迷っていると、ナミの手が頭に置かれた。
「ま、でも、確かにあんたにはパーっと騒ぐ事を教えてやんないとね」
「…皆さん…」
外にテーブルや椅子を出し、宴の準備は整う。