第2章 第一章「ニホンの忌まわしき存在」
「おいおい、本当かよ…」
「え?なにか変わった?」
「よく見ろ。顔つきが全然違うじゃねぇか」
「これは、戦いに相当慣れてる目だ」
サンジ、ナミ、ゾロ、次いでルフィがそう言う。
はにこっと笑うと、こう言った。
「驚きだよ。僕を呼び出せる人がいるだなんて」
その声色と話し方と雰囲気で、残りの皆も彼女が違う人物になった事にようやく気が付いた。
ブルックがずい、と進み出る。
「すみません」
「なんだい?」
「パンツ見せてもらってもよろしいでしょうか?」
「お前はこの状況でなにを言ってんだバカ野郎!」
「ははは、この子のパンツは見せられないよ。っていうか、それもう一度言ったら殺すよ?」
「ひえっ」
「まぁ、最も君は死んでるんだったね」
「あ!そうでした!」
和やかな雰囲気だが、やはりどこか落ち着かない。
ウソップがこんな質問を投げかけた。
「お前は、チョッパーの言う通り、もう一人の人格ってやつなのか?」
「そうだよ。この子があの日を迎えてから、僕が生まれた」
「あの日…?」
「おっと、それは僕からは言えない。詳しくはこの子が話す気になったら聞いてくれ。…ところで、君たちはいい人そうだけど、を少しでも傷つけたら、僕、君たちを容赦なく殺すからね」
その発言は、笑顔に反してかなりの殺気を含んだものだった。
「傷つけねぇよ。大事な友達だ。それに、俺はお前なんかに殺されねぇ」
「はは、自信たっぷりだね。いい事だ」
「お前はどうしてあんなに強いんだ?」
「それはそうさ。鍛えた。鍛えて鍛えて、ひたすら鍛えた。この子を守るためにね。もしもこの子が本当の力に目覚めた時、きっと僕らは最強になる自信がある」
そう言い残し、は急にまた倒れ込んだ。ゾロがそれを支え、ベッドに戻す。次に目を覚ました彼女は、出会った時の彼女だ。
「今、なにが…」
「今もう一人の人格って奴と話してた。なんかすげぇ余裕ある奴だったな。強そうだし、おもしれぇ」
もうひとりのが言っていた事は今のには深くは話さなかった。そして、皆彼女には、普通に接してやろうと思う。
先ほどの様子からすると、彼女はもうひとりの存在を恐れているのだろう。