第2章 第一章「ニホンの忌まわしき存在」
気が付くと、の周りには人がいなくなっていた。ただ、あの九人だけが、呆然とを見ている。
は、やってしまった、と顔を覆った。
きっとこの先はこうなる。この九人は、私から離れてしまう。
そう彼女は考え、畏怖した。
「お前…」
「ルフィさんお願いです。なにも言わずに離れてください」
「つっえーなぁ!!」
「本当ね!あんたかなりやるじゃない!あいつらをどんどんやっつけちゃってさぁ!」
「俺たちの出る幕じゃなかったな!」
「お前は出る気なかったろうが」
予想外の各々の反応に、今度はが呆然とした。
あの姿を見ても、彼らは気にも留めていない。それどころか、笑って賞賛までしているではないか。
「あ、あの…おかしいと思わないんですか?」
「ん?なにがだ?」
「だって、私…こんな力…」
「まぁ、人が変わったかのように見えたのにはびっくりしたけどよ、別にそんなにおかしくねぇだろ?」
フランキーの言葉に、は脱力してその場にへたりこんでしまう。チョッパーが駆け寄った。
「どうした?具合悪いか?怪我したか?」
「いえ…私、記憶がないんです。この力を使っている間」
「過去にも同じ事があったのか?」
「はい。記憶がないうちに色々な事が起きていて…まるで、もうひとり私の中にいるような…」
「…みんな、屋敷に戻ろう。俺から話があるから」
そのチョッパーの真剣な表情で、残りの八人は多くを語らず、を支えて屋敷へ戻る事にした。
をベッドに寝かせ、チョッパーはいくつか質問をした。そして、彼女の答えで、チョッパーはある事を確信したようだ。
「は、解離性同一性障害だ」
「なんだそれ?」
「簡単に言うと多重人格だ。えっと、自分とは違うもうひとりの人格を自分の中で作っちゃうんだ。その間の記憶がないのは、特徴の一つなんだよ」
「解離性同一性障害…」
「珍しい精神病だ。ちょっと試したい事があるんだけど、いいか?」
「はい」
チョッパーはをリラックスさせ、何度かなにかを呼びかけた。
が再び目を開けた時、チョッパー、ルフィ、ゾロ、サンジが驚く。