第7章 テニスのお供に 〜海堂薫〜
歩き出した海堂くんの後ろをついていく。
女の子のファッションには興味なくても、一応違和感とかはあるんだと思うと少しおかしくて。
私は思わず口元を綻ばせた。
「おおおー! こんなに色々あるんだ!」
受付の前で、私はほぇー、と息を漏らした。
セグウェイとかポケバイは聞いていたけれど。
これあれだよね? 芸人さんたちがやったりしてるやつ。
バブルサッカー…は、二人しかいないし、さすがにちょっと怪我しそうだし遠慮したいな。
どれも中々賑わっている。
ここには釣り堀はないみたいだった。
「セグウェイ乗ってみたい!」
「次はバランススクーター!」
「あっアーチェリーが空いてるよっ」
「海堂くん、卓球で勝負!」
初スポッチャの私はかなりはしゃいでいて、海堂くんをあちこち引きずり回した。
私に合わせてくれるし、ちょっと鈍くさい私をたまに鼻で笑いつつもアドバイスをくれた。
セグウェイって案外難しいのね。
真っすぐ進みたいのに曲がっちゃって、ぐるぐる回ってしまう。
体幹なんて生まれてこの方鍛えたことないよ。
ピンポンスマッシュやバッティングでは一球も当てられずただただフルスイングを繰り返してから彼を振り返ると、思い切り視線を逸らされた。
肩が震えている。
いや、もういっそのこと大笑いしてくれた方がスッキリするんですけど!
「――はぁぁぁ…汗かいたー!」
「水分補給だな」
「そうだねー」
自販機の前でスポーツドリンクを体に流し込む。
ぷはぁ、と一息ついてから二人してベンチに腰を下ろした。
「宮脇って、もっと運動できるのかと思ってた」
「…体動かすの、実はあんまり好きじゃないんだよね」
「なんでここに来たいって言ったんだ」
「楽しそうだったから? うん、でも楽しいね! 私、インドアだけど、たまにはいいかも」
「そうか。…良かったな」
「うん! ありがと、誘ってくれて」
誘ってくれなかったら、きっとこんなとこ来ないよね。
彼氏でもできて、連れて来てもらわない限り。