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【テニプリ】短編集

第6章 猫カフェのお供に ~海堂薫~


 すっかり餌がなくなった後も、匂いがするのか海堂くんの右手の人差し指と中指はしばらくの間舐められっぱなしだった。
「おい、もう無ぇって…」
 緩んだ目元と口元。
 しかし10秒後、猫ちゃんフィーバーが無情にも終了した。
 あれだけ海堂くんの周りに集っていた猫たちはあっという間に方々に散り散りになって行った。

「…………」

 海堂くん、お芋ちゃんの背中を見る目が寂しそう。
 …なんかキュンとしちゃったよお姉さん。
 いや同い年だけど。

「落差、凄いよね」
「…そう、だな」
「さ、気を取り直して! 子猫ちゃんは17時までしか居ないから、今しか遊べないよ!」
「そうなのか?」
「うん。長時間お店に出るのはストレスだから、時間が決まってるんだよ」
「へぇ…」

 それから17時までの間。
 他のお客さんのおもちゃと海堂くんのおもちゃ、どっちとも遊びたい新入りの子猫、亀吉はあっちこっちをバタバタと走り回っていた。
 その様子を海堂くんに渡されたスマホで写真を撮る。
 遊ぶのと写真撮影、さすがにどっちもは両立できないからだ。
 私はというと、あぐらをかいた膝の上にミコトちゃんを乗せている。
 正直、重い。
 痺れそう。
 でももうちょっと我慢。
 あと少ししたら退いてもらって、三角座りに切り替えよう。







 18時になった。
「スタンプ溜まったんで、次はスペシャル猫餌差し上げますね~」
「はい!」
「またお友達もぜひ一緒に来てくださいね」
「…ッス」

 真新しいスタンプカードを受け取って、はにかみながら頷く海堂くん。
 きっともう猫カフェのとりこですよね。
 フフフ。
 私も新しいスタンプカードを貰って、溜まったカードと一緒に財布の中に仕舞い込む。
 さて、海堂くんはどの写真を待ち受けにするのかな~。
 明日が楽しみだ。
 ちなみに。
 私の待ち受けはミコトちゃんのお尻。
 海堂くんとのコミュニケーションアプリの背景は、海堂くんが必死に亀吉と戯れる姿。
 可愛らしいわぁ。
 癒しだよ、癒し。
 綺麗な顔してるし、眼福ってやつだよね。

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