第11章 xxx 10.指名予約
促されるままにベッドにあがって、堅治の上に跨がるように指示され、問いかけられる。
「指がいい? 口がいい?」
その内容に驚いて、少し怖くなった。
うちはこの辺じゃ優良店だし(料金設定はえげつないけど)、女の子の病気チェックだって念入りだ。
私もここへ連れてこられる前にオーナーと病院に行ったから、自信をもってクリアだと言えるけど。
迷いも見せずに「口でしてやる」なんて言えてしまう彼が、堅治のことが、心配になった。
「……それ、他の子にも言うの?」
「あ、ちょっとそれ心外だなー……ちゃんと性病管理してる店でしか俺は遊ばないの。遊び人なめんなよ」
「ご主人さま、それは自信満々に言うことでもないと思いマス」
冗談半分本気半分でおどけてみせると、堅治は「ご主人さま?いいねそれ」と言って、楽しそうに笑う。
今度は屈託のない笑み。
少年っぽさの残るその笑顔に、今日、初めて本当の彼を見た気がした。