第11章 xxx 10.指名予約
「ドライオーガズム、知ってる?」
恥ずかしげもなく下着を脱いで、堅治はベッドに腰かける。窓際の壁に背を預けて、彼は、信じられないことを口走った。
「俺最近それにハマってんの」
してくれる、よね?
彼のおねだりは明らかに強要を孕んでいて、それは、決して逆らってはいけない「命令」だ。
【ドライオーガズム】
男性が射精をせずにオーガズムに達すること。前立腺への刺激によって誘発され、その快感は、女性の性的絶頂に匹敵するという。
「心配しなくても大丈夫。俺のナカ、ちゃーんと綺麗にしてきてるからさ」
笑みを絶やさずに言って、堅治は、言葉を加える。
「飛ぶまでイかせてやるよ。俺をきもちよくできたら、……ね?」
それは狂気的な微笑だった。
私は、ある種の覚悟を決めて、ローションのボトルを掴む。こうなったらもうやるしかない。
ひとつ間を置いて。深呼吸。
「四つん這いに……なって、くれますか……?」
滑りが持続するタイプのそれをタラリ、掌に垂らすと、フルーツの香りがあたりに広がった。