第11章 xxx 10.指名予約
「堅治ぃ……っお願い」
そこじゃないの。こっち。
もっと奥を触って、お願い、イキたいの。もう許して。何でも、あなたの言うとおりにするから。
私の視線からすべてを読みとった彼は、唇で美しく下弦の月をつくる。その微笑みは淫らで、妖艶で、まるで悪魔のよう。
「じゃあさ、──上手に可愛くおねだりしてごらん?」
飼い慣らしたペットを愛でるような、そんな、甘やかな命令だった。
堅治がご主人さまとして主導権を握る。私は、従順に、彼に屈服する。それが今日のオシゴト。
「欲しいのっ……マリンのここ、イキたくて、もうダメなの……おねがい堅治、ちょうだい……?」
訴える。目に涙をためて。
みるみる内に堅治の顔が恍惚に歪んで、しかし、それは突如として無表情に変わった。
「上等……でもまだ、おあずけ」
彼は淡々とそう言って、履いていたスキニーデニムのシッパーに手をかけた。
徐々にチャックが寛げられて、男のかたちに膨れた下着が露わになる。肌に密着するタイプのブランド物。女の子が喜びそうな香水。
やっぱりこの人、相当遊んでる。