第11章 xxx 10.指名予約
「マリンさん、指名ね」
不機嫌な声の光太郎が連れてきたのは、ブラウンの直毛に爽やかな面立ちが映える、いかにも好青年って感じの新規客だった。
「新規なのに指名……?」
訝って聞くと、光太郎が腰を曲げて耳元で小さく言う。
「お前のプロフ見て一発で決めてた……たぶん、あの客ハマるぞ。ジラしまくって搾れるだけ搾ってやんな」
「うわ……下卑たやり方」
「ここ風俗、それ常識。んじゃ、気合入れてけよマリン」
お客さんが見てないのを良いことに、耳たぶに軽くキスをして去っていく光太郎。その広い背中を一瞥して、私は、グリーンのドアを閉めるのだった。
「よろしくねマリンちゃん。俺、堅治っていうからテキトーに呼んで?」
堅治と名乗った青年は、慣れた様子で微笑んでみせてベッドに腰かけた。
遊び歩いてそう。それが第一印象。
その証拠に、彼は早速私の腰を抱き寄せて、瞳の奥を覗きこんでくる。ほんのりお酒の匂い。すでに一杯引っかけてきたようだ。
「綺麗な色だね。カラコン?」
唇が触れてしまいそうな距離から言葉が投げかけられる。
「元から、こういう色」
「へえ……そうなんだ」
食い気味に相づちを打った彼は、何を思ったのか、私の涙袋を押しさげて──
「………っ!?」
眼球……舐められた。
まさかの特殊プレイ。