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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第11章 xxx 10.指名予約



「送ってくれてありがと」

「おーあんま無理すんなよ」

「うん、わかった」

 店先で会話する黒尾と私を、光太郎のまん丸な瞳がジトーッと見つめていた。

 外は夕暮れ。橙色の空。
 息を潜めていた町が、欲に塗れた人間が、待ち焦がれる夜がもうすぐそこまで迫っている。

 そんな午後六時の一幕だった。

「はいはいお二人さーん、フロアで堂々とイチャつかないでくださーい。もれなく拗ねますよー!俺が!」

 いつにも増して光太郎の声がデカい。
 加えて、黒尾と私の周りをちょこまかと動くものだから、残像が見え……ってそんな冗談はさておいて。

「別にイチャついてねえよ」
「誰がこんなお巡りとなんか」
「お巡りサン、な!」
「あら失礼黒尾ッサン」

 黒尾が眉を歪ませて「テメェ……」と低い声を出す。また頭を鷲掴みされそうになったので、うまくかわしてアッカンベーをした。

 フロアから縦長に伸びる、狭くてピンク色の廊下。両脇には何枚ものカラフルなドアが並んでる。ふわり、お香の匂いが鼻をくすぐった。

「ったく可愛くねえガキ!」

「黒尾ッサンて、なんか、クロワッサンみたいで旨そうだな……!」

「うるっせえバカフクロウ!」

 光太郎と黒尾の声を背に、私は、仕事部屋へと向かう。

 さあ、今日もオシゴト始めましょう。

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