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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第11章 xxx 10.指名予約




「……い、……おい、カオリ!」


 目が覚めると泣いていた。
 呼吸は荒く、心臓は痛いくらいに脈打っていて、ティシャツの首元がぐっしょりと濡れている。

「……大丈夫か?」

 ちょっと面食らったような顔で、黒尾が私を見ていた。髪がぺたんこ。まるで別人だ。そっか、お風呂……私、この人と一緒に家に帰ってきたんだっけ。

 若干の目眩を感じつつ、ゆっくりと身体を起こす。目の奥が随分と重い。

「お前、すげえうなされて……なんか怖い夢でも見た?」

「うん、女装した黒尾がダッシュで追いかけてくる夢……マジで悪夢だった」

「……冗談言ってる場合かよ」

 ちょっとむくれ面になりながら、濡れた目元を拭ってくれる強引な親指。

 広くて骨張った黒尾の手の甲に、そっと、私の手のひらを重ねる。

「手……カサカサじゃん」
「敏感肌で乾燥肌なんだよ、俺は」
「でも、……あったかいね」

 頬に感じる熱が、彼の体温が、触れたところからジワリと広がっていく。

 ゆるやかに流れる時間。
 香るのはコーヒー豆と、シャンプーの匂い。

 枕元に腰かける黒尾と目が合って、ふと、どちらからともなく笑みを溢した。

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