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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第11章 xxx 10.指名予約






「クロ……さっきのは極端すぎ」

 海沿いの高級住宅街。ウミネコの声。
 日本人なら誰もが一度は見たことのある虹色橋が見える遊歩道で、研磨がぼそりと呟いた。

「そうかァ? ああでも言わねえと、あの兄ちゃん……確かホストクラブの幹部だっけか、諦めそうにもなかっただろ」

 対する黒尾は缶コーヒー片手に、あくまで飄々として話す。

 「それに……」と付け加えた彼は、微糖と書かれたそれを口に運んで、それから私のほうを見た。


「ほっとけなかったんだよ。カオリの肩、すげえ震えてた」


 一般市民を守るのがボクのお仕事ですから。黒尾はおどけてみせて、ふと、目元を綻ばせる。

 一瞬、ほんの一瞬だけど、その笑みが深い優しさに満ちていた気がして、思わず目を見張った。

 強い潮風が、吹き抜ける。

 ミャア、ミャア
 天高くから降ってくるウミネコの共鳴。惹かれるようにして視線を海に向け、今度はポカンと口があいた。

「………きれい」

 燦々と降り注ぐ陽光。
 水面がキラキラ光る。

 はるか遠い海岸線で、大きな大きな貨物船が高らかに汽笛を鳴らした。

 荒んだ町に生きる私たちが見た束の間の、──朝焼け。




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