第11章 xxx 10.指名予約
「風呂沸かしてくんね? 長めに半身浴できる温度で頼むわ。あ、俺敏感肌だから入浴剤は入れんなよ」
どうしてこうなった。大事なことなのでもう一度言う。どうしてこうなった。何故、どうして、黒尾が、ソファに寝転んでくつろいでいるのですか。
たしか私の家ですよね。ここ。
「出てってください今すぐ」
「断る」
「じゃあ千歩譲ってお風呂貸してあげるんで、入浴が終わったら速やかにお引取りください帰れ」
「だが断る」
んんんんもう何こいつ。何こいつ!
仮にもレディのひとり暮らしに強引にあがりこんだ挙句、コーヒー(微糖)催促するわ、勝手にDVD見始めるわ、自由奔放にも程があるでしょうよ!
しかも今度は風呂かよ!半身浴って女子かよ!その図体で?その図体で?!
「そのデカい身体じゃ普通に入っても半身浴なんじゃないですかね!帰れオッサン!」
「んだとクソガキ!謝れ!全国の背高い人たちに謝れお前は!つーかとっとと風呂沸かしてこい!」
もうやだ。助けて。助けて研磨。
ちょっと涙目になりながら渋々バスルームに向かい、私は、ついさっきまで一緒にいた研磨のことを思い出していた。