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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第10章 xxx 09.彼氏(仮)



 はた、と止まる足音。
 まず最初に岩泉さんが立ち止まって、次に、徹くんが動きを止めた。

 貴大くんと一静さんは企み顔で目配せをして、一歩引いたところから、ことの次第を静観している。

「……なに、お前ら、訳あり?」

 黒尾がすこし身を屈めて、私に耳打ちをした。研磨は弄っていたスマホをロックして、スーツの四人組をジッと見据えている。

「ただの、顔見知り……だよ」

 震えそうになる声を必死に抑えて言うと、黒尾は「へったくそな嘘」と気怠げに返事をした。


「カオリ……あのさ、」


 口を開いたのは岩泉さんだった。

 何を言われるんだろう。
 言い訳、弁解、はたまた、──謝られるとか。彼が言おうとしてることが何だとしても、聞くのが怖い。聞きたくない。

 岩泉さんの隣から下ろされる徹くんの感情のない視線が、余計に、恐怖心を煽る。




「よし、そんじゃ帰んぞ、カオリ」




 一際大きく響いたのは、黒尾の声。

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