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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第10章 xxx 09.彼氏(仮)






「研磨ァ! けーんまー!!!」




 え、うるっさ……なに?
 聞き覚えのある声で目が覚めた私は、朝日差しこむ暗幕の隙間から、窓の外を見下ろした。

 ここは雑居ビルの六階だ。
 通りの両脇に詰まれたゴミ袋の山が随分と小さく見える。見えるのだが、その隣でバイクに跨がる男。

 あいつ六階から見下ろしてもあんなにデカいのか。巨人か。巨人だ。

「……研磨、おきて」

 シャワーを浴びてすっかりスッピンになった研磨は、私の隣ですやすやと寝息を立てていた。

 迎えにきたのだ。
 この、私のかわいいかわいい研磨を、あの悪徳警官が。

「ん、カオリ……なに」

「巨人がでたよ」

「きょ、じん……だれ」

「早く服着ないと食われるかもしれない。おもに私が」

「……ふうん?」

 まだ要領を得ず寝ぼけている研磨の着替えを手伝って、カウンターで居眠りしてた光太郎を叩き起こして、退勤処理をした。

「じゃあ光太郎、また今日ね」

「おー……約12時間後な」

 この町でしか通じないヘンテコな別れの挨拶。手短かにそれを済ませてエレベーターに乗りこむ。

 ああ、いやだな。会いたくない。
 だって黒尾怖いんだもん。顔が。

 そんなことを悶々と考えていると、研磨がきゅ、と私の手を握って言った。

「だいじょうぶ。クロはね、うんと、ああ見えて……すごく優しいよ」

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