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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第10章 xxx 09.彼氏(仮)



「きもちよかった?」

「うん、すごくよかった」

 どちらからともなく交わす会話。
 交換するようにして落とすキス。

 上がった息が整うまでのあいだ、何度も研磨の頬に唇を触れさせて、私もお返しをしてもらった。

 なんか、しあわせだな。
 幸せが何たるか、なんて、そんなのはまだ良く分からないけど。でも胸のあたりが暖かいのはホント。

「研磨……ありがと」

「ん?」

「私、研磨に出会えてよかった」

 もしも、出会えずにいたら、──私はどうなっていたんだろう。

 徹くんと岩泉さんの顔が脳裏に浮かんで、それを掻き消すようにして頭(かぶり)を振った。

 もう、忘れよう。
 この町にいる地点できっと、絶対、また顔を合わせるだろうけど。そのときにはもう、ただの同業者として、無感情で接せられるように。

 忘れるんだ。その努力をしよう。

「……カオリ? 大丈夫?」

 心配そうな声音で言って、研磨は、一本指で私の眉間をもみこんでくれた。

「ここ、皺よってる。悲しい顔。何かあった……?」

 ああ、優しいな。研磨は優しい。
 すごく心地がよくて、穏やかな彼の言葉、あったかい。研磨がそばにいてくれるだけで、もう充分だよ。

「ううん、何でもない……ありがとう」

 本当に私、あなたと出会えてよかった。


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