第10章 xxx 09.彼氏(仮)
「もう援交なんてしちゃ駄目だよ」
黒尾とは大違いの優しいお巡りさん。
小柄な体格のせいなのか、彼は制帽のサイズが合ってなくてブカブカだ。顔もすごく小さい。
「甘いッスよ、夜久さん! もっとこうビシーッと言ったってください!バシーッとォ!」
「山本うるさい……ビシーッなのか、バシーッなのか、どっちだよ」
モヒカン警官は山本というらしい。
ソフトに優しくツッコミをいれてくれた夜久さんに、「ガシーッとです!」と支離滅裂なことを言って困らせている。
幸いなことにオーナーは外出中だ。
狭い店内が警官だらけ、という現状は見られずに済んだ。ていうか見られてたら今度こそ埋められてた。
「えっと、研磨くん……今回は黒尾に免じて許してやるけど、本当は犯罪なんだからね。そこはちゃんと理解してるかな」
夜久さんのゆっくりとしたお説教に、研磨は「……わかってる」と弱々しく頷いてみせる。
「じゃあ、もうやらないって約束してくれるね?」
「……うん」
「よし、いい子だ」
そう言って立ちあがった夜久さんは、天使のような笑顔を見せて、ガシガシッと研磨の頭を撫でた。なんかうらやましかった。