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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第9章 xxx 08.遭遇



 蹂躙される。侵される。
 触られてもいないのに蜜を出しはじめたそこが、本能の部分が、及川徹を求めてしまう。

 それでもどうにか堪えて靡かずにいると、彼は、急にその声音を低く変えて喋りはじめた。

「ああ、そうだ……そういえばさァ」

 ついさっきまでとは真逆な冷たい声。
 気が短いのか、感情の起伏が激しいのか。ともかく機嫌を損ねたらしい徹くんは、私をその腕に閉じこめたまま、クスリと笑みを漏らす。


「岩ちゃんの味はどうだった……?」

「……っ!!」


 岩泉さんの名前を出されて一気に顔に熱が集まった。その反応を見た彼はフッ、と鼻を鳴らして、嘲笑する。

「やっぱり惚れちゃったんだ」

 言い返さない。言い返せない。
 ドクドクと心臓がきもちわるい音を立てる。

「岩ちゃんって色管うまいからねー……何も他店の風俗嬢まで教育してやることないのにサ。まんまと騙されちゃった?」

 色管。色恋管理。

 聞いたことがある。黒服が店の従業員に恋愛感情を抱かせて、より一層仕事に励ませるっていう、あれだ。

「いいこと教えてあげよっか。岩ちゃんと、お前の店のオーナーね……裏で繋がってるよ」

「!! そん、な、ウソ信じな」

「嘘じゃないよ。岩ちゃんのために頑張っていっぱい客取ってイイ女になりたい、って、思ったでしょ?」

 そんな、そんなことない。
 岩泉さんはそんな人じゃない。

「かわいそうなカオリ。無知は罪だね」

「………っ」

「うちのホストにもいるよ。ハジメさんのために俺頑張ります!みたいな馬鹿が……それもいっぱいね」

 もうやめてよ。聞きたくない。
 お願いだから……もう。

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