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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第7章 xxx 06.本番禁止



 それはまるで、恋人が交わすような。

「怒んなよ」
「怒ります」

 互いの額をぴたりとくっつけて囁き合う。吐息が混ざって、視線がぶつかって、触れるだけのキスをする。

「カオリさん」
「はい、岩泉さん」

「カオリって呼んでいい?」
「いいですよハジメちゃん」
「オイ、そこは一だろ」

 岩泉さんの手で両方の頬を包まれて、彼の胸板にそっと手を添えて。暖かい、と思う。岩泉さんの腕のなかは、ひどく心地いい。

 胸に淡く灯ろうとしているのは、きっと、この町で生き抜くのに最も邪魔な感情。

 ああ、ツラいな。
 この心地よさに沈めば沈むほど。

 戻れなくなる。戻りたくないって思ってしまう。駄目だ。ダメだな、私。

 この仕事、たぶん向いてない。


「……どした?」


 私のまつげが俯き加減だったことに気付いて、岩泉さんが覗きこんでくる。何も返す言葉が見つからない。だから。


「なんでもない」


 小さく言ってキスをした。






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