第7章 xxx 06.本番禁止
「い、いや自分で洗えますから!」
お客さんの身体を洗うサービスのことを伝えた途端、これである。そりゃ自分で洗えるでしょうけれども、それでは私が仕事にならないのです。
「岩泉さん。観念しましょう」
「かっ……観念って」
「まずは脱いでください」
言いながら自分のブラに手をかける。
スルリ、と肩紐をぬいてホックを外すと、岩泉さんが瞬時に顔を背けた。またも赤面して口元を押さえている。
ああ、これ、岩泉さんの癖なんだ。
男らしい輪郭を覆うゴツゴツした手。その甲に浮きでた血管を、そっと人差し指でなぞって、彼の名前を呼んだ。
「岩泉さん」
「………っ」
「こっち向いてください」
ね?
短く付け加えながら手の甲にキス。すると、全身を硬直させてこちらを見る彼。かわいいなあ。スーツでビシッと決めてるときは、あんなに格好いいのに。
すこし緩んでいた岩泉さんのネクタイに指先を引っかける。
彼はなにも言葉を発さない。ちょっと潤んだ目で私を見るだけ。でも、その呼吸は荒くなってる。
どうしよう。
なんだか興奮してきちゃった。