第6章 xxx 05.不夜城
「おーキャッスルのお兄さんたち!毎度どうもー!あれ、マッキーちょっと痩せたんじゃねえの?」
光太郎は得意の営業スマイルを見せて立ち上がった。
今までは私の正面に座っていたのだが、ピンクっぽい短髪の男性に軽く話しかけたあと、さりげなく席を変えて私の隣に座りなおす。
それを、徹くんは見逃さなかった。
「やだなァ。そんなに警戒しないでよ」
彼はあくまで和やかに言いながら私の正面に座る。瞬間、光太郎がテーブルの下で拳を握るのが分かった。
「コータローのとこの大事な大事な商品ちゃんだもんね? 獲って食いやしないよ。今は、ね」
今にも殴りかかりそうな勢いの光太郎は、どうにか堪えて、引きつった笑顔をつくる。
「トオルくんさ。カオリから金引っ張るようなことがあったら、俺、マジで怒るからね。……覚悟しとけよ」
何だろうこの雰囲気。
まさに、一触即発だ。
ピリピリとした空気に耐えかねて何か言おうと試みる。しかし、それを遮ったのは──
「おーいーかーわァ……また他人様んとこの従業員に営業掛けてんのかテメェ」
岩泉さんの登場だった。
阿修羅よりも顔が怖い。