第5章 xxx 04.金融屋
落ちついた色の間接照明が、彼の涼やかな目元を照らす。近くで見ると意外にまつげが長い。
綺麗、だと思った。
大人の男性にそんなこと言ったら怒られちゃうかな。
「俺の顔に何かついてる?」
「い、え……っなにも、」
「ああ……もしかして
見とれちゃった、とか」
「………!」
この人、分かっててからかってるんだ。
悔しさと恥ずかしさが同時に込みあげて、ボッと顔から火が出たような錯覚。いたずらをする子供のような、それでいて艶っぽい熱視線で見つめられて、なんにも言葉が出てこない。
「……イジワル」
「カオリが可愛い反応するから」
「私のせいですか」
ちょっと拗ねたように言ったら、「そうだよ」と小首を傾げられてしまった。完全にアカアシさんのペースにはまってる。たぶん、もう、抜け出せない。
むくれた表情とは裏腹に、心臓はドキドキとうるさく拍動している。再度、彼の指が伸びてきて、今度は優しく瞼を撫でられた。
親指の腹でそっと、よれてしまったアイシャドウを拭われる。彼に触れられたところが、どうしようもなく熱い。