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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第5章 xxx 04.金融屋



 羽のようなキスだった。
 風俗嬢がそんなこと言ったら笑われるだろうか。でも、本当にそうだったんだから仕方ない。

「本名は?」

「……カオリ、です」

「カオリ」

 私の言った名を確かめるようにゆっくりと反復する低い声。顎はまだ、彼にすくわれたままだ。

 そして、そのまま二度目のキス。

「赤葦京治。俺の名前ね」

「あか、あし……さん」

「そう。覚えといて」

 キスの合間に聞いた彼の名前。アカアシケイジ、珍しい名前。どんな字を書くんだろう。教えて欲しい。もっと知りたい。

 あなたはどんな人?
 そう問う代わりに差しだした舌を、彼の真っ赤なそれが絡めとった。

 三度目のキスは、深くて甘い。

「……っん、はあ」

 さっき塗り直したばかりのグロス。
 私から移ってしまったラメが彼の唇を光らせて、なんだか無性に恥ずかしくなる。

 舌先で歯列をなぞられて、応えるようにして口を開く。角度を変えて何度も唇が交わると、自然に頬が上気して鼓動がはやくなった。

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