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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第5章 xxx 04.金融屋



「マリン、だっけ、名前」

「はい……一応、ここでは
そういうことになってます」

「ふうん」

 そこで話を切った金融屋さんは、これまた音もなく立ち上がってこちらに向かって歩いてきた。

 たった数歩歩いただけで縮まってしまう距離。何をされるのかと視線を上げたが、彼がストンと腰を下ろしたことで、目線が同じ位置になる。

 体育座りしたままでいる私。あぐらをかいて私を見る金融屋さん。どちらも、何も、喋らない。

 彼の指がそっと伸びてきて、その刹那のできごとだった。

ベリィ……ッ
「!? 痛あっ!」

 剥がされたのだ。付けまつげを。
 それも容赦なく一息にベリッと。

「なっ!何するんですか!」

「いや、凄いまつ毛だなあ、と思ってさ。毛虫が乗っかってるみたいで気持ち悪かったから」

「だからって剥がしますか!剥がしませんよ!痛いなもう……絶対何本かまつげ抜けたこれ」

 ちょっと涙目になって訴えると、金融屋さんは「それは大変だ」と素知らぬ顔。誰のせいだと思ってるんですかね。

 ヒリヒリする瞼を指でさすっていたら、今度は顎をすくいあげられる。少し上を向いた状態で、彼と視線がぶつかった。

 あ、れ……これはもしや。

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