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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第5章 xxx 04.金融屋



 20分が経過。さらに、10分。

 まんじりともせず部屋の隅で体育座りをしていたのだが、さすがに飽きてきた。金融屋さんは寝返りひとつ打たずに寝ていらっしゃる。

 外はそろそろ朝と呼ばれる時間帯。
 窓という窓が暗幕で閉じられた箱のなかで、うざったいくらい眩しいであろう朝日を思った。

「……何分寝た?」

 そのときだ。
 静かな声が耳に滑りこんできて、私はぽそりと答える。

「30分、です」

「そっか」

 短くそう言って上体を起こした彼は、魂ごと抜けそうな溜息をついて、眉間の皺を揉みこんでいた。

 相当疲れているのだろう。美しい切れ長の眦が、ひどいクマのせいで濁ってしまっている。

「……お疲れ、なんですね」

「まあね。最近色々あってさ」

 距離にすると三メートルくらいだろうか。

 プレイ用のベッドと部屋の隅。
 微妙な距離で交わす会話はなぜだか心地よく、さっきまでの緊張した空気はどこかへ消えてしまった。

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