第5章 xxx 04.金融屋
20分が経過。さらに、10分。
まんじりともせず部屋の隅で体育座りをしていたのだが、さすがに飽きてきた。金融屋さんは寝返りひとつ打たずに寝ていらっしゃる。
外はそろそろ朝と呼ばれる時間帯。
窓という窓が暗幕で閉じられた箱のなかで、うざったいくらい眩しいであろう朝日を思った。
「……何分寝た?」
そのときだ。
静かな声が耳に滑りこんできて、私はぽそりと答える。
「30分、です」
「そっか」
短くそう言って上体を起こした彼は、魂ごと抜けそうな溜息をついて、眉間の皺を揉みこんでいた。
相当疲れているのだろう。美しい切れ長の眦が、ひどいクマのせいで濁ってしまっている。
「……お疲れ、なんですね」
「まあね。最近色々あってさ」
距離にすると三メートルくらいだろうか。
プレイ用のベッドと部屋の隅。
微妙な距離で交わす会話はなぜだか心地よく、さっきまでの緊張した空気はどこかへ消えてしまった。