第5章 xxx 04.金融屋
『及川に金払ってない客ってのがうちの従業員なんだけどさ、その子、ついさっき60分コース入っちゃったんだよね』
「はあ……それで、なに」
『京治くん丸二日寝てないらしいんだわ。ちょっとお前の部屋で休ましてやってよ』
「は!? なんで私の」
『んじゃよろしくー』
ひとの話は最後まで聞け!ばか!
あっという間に切れてしまった電話に向かって、心中で愚痴を吐きつつ、そっと後ろを振り向く。
黙って横になっている金融屋さん。
規則正しく上下する胸板、よくアイロンのかけられたワイシャツ。
恐る恐る近寄って顔を覗きこんでみると、彼は、すでに眠りのなかに落ちているらしかった。
「(のび◯くんか……!)」
こうして、私と金融屋さんの、奇妙な60分がはじまったのである。