第5章 xxx 04.金融屋
「はあ、なるほどね」
何やら話しこむ光太郎たちを残して、自室へと戻ってきた私。お香の匂いが漂う仕事部屋でひとり、スマホの明かりに目を走らせる。
【回収】
ホストクラブで遊んだ代金を未払いにしている客から、お金を回収すること。ホストが直接行う場合がほとんどだが、業者に依頼して代行してもらうこともある。
「さっきの怖そうな人
借金取り、だったのか」
「そうだよ。よく分かったね」
「!」
突然聞こえた声に驚いて顔をあげると、部屋のドアに無表情な金融屋さんがもたれかかっていた。
いつの間にドア開けたんだろ。
音なんか何も聞こえなかったのに。
「俺って怖そうに見える?」
薄く整った唇が動いた。
穏やかな話口に落ちついた声音。さっき光太郎と話していた時とはちょっと雰囲気が違っている。
おもむろに部屋に入ってきた彼は、スーツのジャケットを脱いでベッドに腰掛けた。
「……? あの、なにを、」
「ちょっと寝かせて」
「へ?!」
言うなりごろん、と横になってしまう彼。どうすればいいのか分からず呆然としていると、そこへ内線電話のコール音が響いた。