第5章 xxx 04.金融屋
「で、今日はどうした? あっ!もしかして抜きにきた系!?」
「光太郎くんさ……俺がその手の冗談嫌いなの知ってるよね。いい加減埋めますよマジで」
なるほどお客さんではないらしい。
スッと細めた氷のような眼で睨みつけられて、光太郎から表情が消えた。これはあれだ。たぶんこの「京治くん」はとても怖い人だ。確信。
「そ、それで、今日はどのような
ご用件でいらっしゃったのデスカ」
「Castleのトオルに頼まれてさ」
「あー回収だったのか、お疲れ」
キャッスル、トオル、回収。
話の内容が見えるような、見えないような。
そこでふと、徹くんが帰りがけに置いていった名刺のことを思い出した。財布に入れておいたそれを取りだして、視線を落とす。
【Club Castle 。゚✶ฺ.トオル.✶゚ฺ。】
異常なまでにキラキラした名刺には、徹くんの写真とともにそんな文字が綴られていた。