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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第19章 grand finale √parallel



「めでたし、めでたし」

 ネオン煌めく繁華街。
 メインストリートに面したファーストフード店で、カオリは炭酸飲料を啜っていた。

 その隣でハンバーガーを頬張るのは、木兎光太郎である。


「ほええ!ほえにゃほにょ!」

「木兎さん、口の中身を呑みこんでから話しましょう……行儀悪いですよ」


 後輩である赤葦京治にやんわり諭されて、ごくん、喉を鳴らした木兎が改めて口を開いた。


「へー!それがカオリの初恋か!」


 なんかちょっと嫉妬するなー!
 あっけらかんと話して、木兎は本日4個目のハンバーガーに手を伸ばした。

 その様子を「お前まだ食うのかよ」と、呆れ顔で眺めているのは黒尾鉄朗である。

 彼らは皆、都内にある高校の制服を身に纏っており、その足元にはスポーツ用のセカンドバッグが置かれていた。


「素敵だったなー……彼ね、私の王子さまだったの。かっこよくて、背が高くて、本当にだいすきだった」


 うっとりとして話すカオリ。

 それに呼応するようにして木兎がイジケはじめる。すかさず機転を利かせるのは、赤葦だ。


「……黒尾さんは何かないんスか」

「ん? 何かって、なに」

「過去の美談、ってやつですよ」


 努力の甲斐あって、木兎はカオリから意識を逸らし、身を乗りだす。


「黒尾の初恋バナ!聞きたい!」

「ちょ、光太郎……食べカス飛んでる」


 カオリがうざったそうに紙ナプキンを渡すが、木兎は丸無視だ。ちっとも聞いちゃいない。

 矢面に立たされた黒尾は、うーん、と小さく唸ってからポツポツと語りはじめた。

「恋バナ、じゃねえけど、俺にもあるぜ。そういう不思議な経験。まあ、親父から聞いた話なんだけどな」

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