第5章 xxx 04.金融屋
空が白みはじめた頃だった。
孝支くんのあとに30分コースの客を相手した私は、渇いた喉を潤すためにカウンターに向かっていた。たしか、店の入り口にミネラルウォーターの自販機があったはず。
「おー、お疲れさん」
「……おつかれ」
「何だよまだ怒ってんの?」
店の予約表と睨めっこしていた光太郎を一瞥して、プイとそっぽを向く。
よし、レモン風味のやつにしよう。
小銭をいれて自販機のボタンを押そうと、手を伸ばしたときだった。
「おー!京治くんじゃん!」
エレベーターが開いた先。
これまた高身長の男が眠そうな顔をして立っていた。
一見普通のサラリーマンに見えるけど、首元に見え隠れしているのはゴールドのネックレスだ。恐らく、彼もまたこの町の住人なんだろう。
「久々じゃんかよー!元気してた?」
「うん、まあ、ぼちぼちですかね」
光太郎の顔見知りってことは同業者か、もしくは、常連客かな。涼しげな印象を受ける横顔を見つめて、ミネラルウォーターに口をつけた。