第18章 xxx ending √3:TETSURO
私の手を引いて、部屋のなかに戻る黒尾。彼の指先はまだ冷たい。でも、手のひらはすごく熱くなってる。
ポス。
ベッドの淵に腰かける。その隣に黒尾が座って、見つめ合う、キスをする。二回目のキスは煙草の味がした。
苦くて、甘い。
大人びたキス。
「ん、……っくろ、お」
彼の名を囁けば呼応するように。
さらに深く、熱く、甘い口付けが注がれる。黒尾の吐息を口内に感じて、むずむずとお腹がくすぐったくなる。
「もっと口開け……ほら」
「んっ! んぅ、う……っ」
「そう、上手、……っん」
黒尾のキスは、なんていうか、そう。手練れてる。リードする低い声色に、甘ったるい嬌声のおまけ付き。悔しいくらい上手いのだ。
大人なんだな、って。
今更だけどそう思った。でも、すごく魅力的。知れば知るほど彼のことが好きになる。溺れていく。この人を、幸せにしてあげたい。
こころからそう思う。
「脱ぐ? 脱がす?」
意地悪に問うの。色っぽい声で。
それだけで腰が疼いて、もどかしくて、深い吐息が漏れる。どこも触られてないのに。きもちいい。
彼の声に、犯されてる。
「……して、……ほしい」
「よく聞こえねえなァ。もっと大きな声でおねだり、してごらん、カオリ」
カオリ。
その毒を孕んだような声音に全身が強く脈打った。駄目。もう、我慢できない。黒尾に触ってほしい。ぜんぶ、ぜんぶ、彼で愛してほしい。
「……っ脱がして、くだ、さい」
羞恥心を捨てて。一息に言う。
ニヤリと彼が笑みをつくった。
悪巧みをする顔。心底愉快そうに、唇で三日月を描いて、笑う。絶好の獲物を見つけたときの、獣とおなじ。