第18章 xxx ending √3:TETSURO
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「……あ、もしかして、お前」
やばい。バレた。
「俺の身体心配してくれてんの?」
今度は私がギクリとする番だった。
やっぱり黒尾には敵わない。隠しごとをしてもすぐにバレてしまう。悔しい。恥ずかしい。頬が熱い。
そうよ、あなたが、心配。
ジッと彼を見つめた。彼も私を見つめる。交錯する視線。近づく距離。黒尾の手が私に触れようとして、でも、やっぱり触れてはくれなくて。
「おや?おやおや? 図星かな?」
「~~~! うっさいクソ尾!」
「誤魔化しちゃって。かーわいーの」
黒尾、すごく辛そうな顔してる。
口ではおどけてみせてるけど。だって目が全然笑ってない。悲しそうな笑顔。そんな顔、させたいワケじゃないのに。
「ってえな!何すんだよ!」
「からかう黒尾が悪い!バカ!」
「こんのガキ、こうしてやる!」
彼の辛そうな姿から思わず目を逸らした。逸らしたら、首筋に氷のような手が滑りこんできた。
情けなくも「ふぎゃ!」と奇声。
直後、無意識に裏拳を飛ばそうとしたけど、殴る寸前で黒尾の大きな手に捕まってしまう。
手は嘘みたいに冷たいのに。
触れあう肌が、──熱くて。
「離して! もう部屋入るっ」
「やーだね、離してやんねえよ」
離してよ。もう、触らないで。
これ以上触れあったら溢れてしまう。仕舞いこんだはずの想いが。こころが。あなたが好き。黒尾のことが大好き。言ってしまいそうになる。だから。
「……離、してよ、バカ」
ぶつかる視線。彼の瞳。
困ってる。そうだよね。このタイミングでいきなり泣いたりしたら私、面倒な女だ。もう考えるのやめよう。
ちゃんと笑って、部屋に戻って、お風呂入って──いつも通りに過ごすんだ。それがいい。
そう、思ったのに。