• テキストサイズ

(R18) Moulin Rouge (HQ)

第18章 xxx ending √3:TETSURO



 *


「……あ、もしかして、お前」

 やばい。バレた。

「俺の身体心配してくれてんの?」


 今度は私がギクリとする番だった。
 やっぱり黒尾には敵わない。隠しごとをしてもすぐにバレてしまう。悔しい。恥ずかしい。頬が熱い。

 そうよ、あなたが、心配。

 ジッと彼を見つめた。彼も私を見つめる。交錯する視線。近づく距離。黒尾の手が私に触れようとして、でも、やっぱり触れてはくれなくて。


「おや?おやおや? 図星かな?」

「~~~! うっさいクソ尾!」

「誤魔化しちゃって。かーわいーの」


 黒尾、すごく辛そうな顔してる。
  
 口ではおどけてみせてるけど。だって目が全然笑ってない。悲しそうな笑顔。そんな顔、させたいワケじゃないのに。


「ってえな!何すんだよ!」

「からかう黒尾が悪い!バカ!」

「こんのガキ、こうしてやる!」


 彼の辛そうな姿から思わず目を逸らした。逸らしたら、首筋に氷のような手が滑りこんできた。

 情けなくも「ふぎゃ!」と奇声。
 直後、無意識に裏拳を飛ばそうとしたけど、殴る寸前で黒尾の大きな手に捕まってしまう。

 手は嘘みたいに冷たいのに。

 触れあう肌が、──熱くて。


「離して! もう部屋入るっ」

「やーだね、離してやんねえよ」


 離してよ。もう、触らないで。

 これ以上触れあったら溢れてしまう。仕舞いこんだはずの想いが。こころが。あなたが好き。黒尾のことが大好き。言ってしまいそうになる。だから。


「……離、してよ、バカ」


 ぶつかる視線。彼の瞳。
 困ってる。そうだよね。このタイミングでいきなり泣いたりしたら私、面倒な女だ。もう考えるのやめよう。

 ちゃんと笑って、部屋に戻って、お風呂入って──いつも通りに過ごすんだ。それがいい。

 そう、思ったのに。

/ 254ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp