第18章 xxx ending √3:TETSURO
「どうだったよ、ミーティング」
「んー……緊張した」
「そっか。お疲れさん」
ほれ、と買っておいたホットラテを差し出す。小さく礼を言ってカップに口をつける彼女。その唇は赤く、肌の血色もいい。
健康状態は良好。
元気そうなカオリの顔を見て、ひとまずホッとした。
「でも私、苦手。人前で喋るの」
ちょっとむくれて彼女が言う。
カオリの言うそれはミーティングでのスピーチのことだ。
性犯罪の被害者が集まる場で、自分の【考え】や【思い】を語る。他人に話すことによって自身と向き合う。
その過程が彼女には必要だから、ミーティングに行くよう勧めた。それから、心療内科も、なるべくなら受診して欲しいと伝えた。
カオリは素直だ。良くも悪くも。
心のケアはとても勇気がいることなのに、彼女はイヤな顔ひとつせずに「行ってみるよ」と微笑んでくれた。
その、笑顔。無理して笑う唇。
切なさと愛しさが同時にこみ上げた。そりゃあもう、息が苦しくなるくらい。守ってやりたい。この子を幸せにしたい。改めて強く思った。
カオリが心から笑える日。
いつか、その日が来たら、想いを伝えよう。そんな希望を抱いて、俺は今日も憎まれ口を叩くのだ。