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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第4章 xxx 03.新規一名



「へえ、お医者さんなんだ」

「まだ卵だけどね。獣医だし」

「どうぶつに囲まれてる
孝支くん、きっとかわいい」

 付着してしまった精液を拭うために、温冷庫から熱いおしぼりを一枚取りだす。私たちは同世代ということもあって、他愛ない会話でもそれなりの花が咲いた。

「かわいい禁止。俺、男の子」

 その台詞が既にかわいいの。
 つい言ってしまいそうになって、口を噤んだ。

 熱々のおしぼりを軽く冷ましてから彼の身体を拭い、丁寧に後片付けをする。香るのは、タオルに染みこんだ消毒液のにおい。

 タイマーがそろそろ鳴るという頃。
 着替えを済ませた孝支くんに手を振って、部屋を出ていく彼を見送った。

 これで、私のお仕事はおしまい。

 もう二度と会うこともないのかもしれない。最後までやっぱり爽やかな彼の笑顔を記憶に刻んで、私は、壁に設置された内線電話に手を伸ばした。

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