第17章 xxx ending √2:KEIJI
私欲を満たすためじゃない。
初めて俺に、全てを捧げてくれた人。それがカオリだった。
仕事の延長でもいい。たとえその言葉がリップサービスだとしても、それでもいい。俺はこの子が欲しい。何としても手に入れたい。
そう、願った。
『京治さん、……キスしていい?』
『……っ、……京、治……ぃ』
京治さん。彼女が俺を呼ぶ声。
その柔らかい響きが好きだ。透きとおった高音が好き。おずおずと、控えめに開かれる唇が、好きで好きで堪らない。
好きだよ、カオリ、お前を愛してる。
「……愛してる、……愛してた」
目頭が痛くなる感覚。
ツン、と鼻の奥にも痛みを感じる。喉が苦しくなって。嗚咽が漏れる。目尻から雫がこぼれる。
ああ、そうか。俺、泣いてるんだ。
「──さよなら、カオリ」
俺は、俺の大切なひとを、守りたい。心安らげる場所を。そこで出会った彼らを。そして、カオリ、お前を。
こんなやり方でしか、守れないけど。
ありがとう。さようなら。お元気で。
「……こんなに、辛いなら……出会わなければ良かった」
でも、出会ってくれて。
「……っ、……──ありがとう」