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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第17章  xxx ending √2:KEIJI



 不思議な子。それが第一印象。

 俺が寝てても指一本触れてこない。それどころか、彼女は喋りかけてもこなかった。ただ黙って、ジッと、部屋の隅で膝を抱えていた。

 たしかに彼女は俺のタイプだったし、どうせ休んでいくなら【あの子】の部屋で、とは思ったけど。

 この界隈の女は皆、俺を知ってる。
 金貸し屋で、借金取りで、白鳥沢の犬だってことも。

 だから媚びを売る。香水くさい身体ですり寄って、化粧だらけの顔で笑って、一歩引いたところからご機嫌取りをするんだ。

 でも、彼女はそれをしなかった。

 興味が湧いた。知りたいと思った。
 彼女がどんな子なのか。何を考えてるのか。どこから来て、何を見て、どう育ってきたのか。どうしてこの町にやってきたのか。

 気付けば彼女に夢中だった。


『本名は?』

『……カオリ、です』

『カオリ』


 恋なんて、したことがなかった。

 誰かを想ったり、焦がれたり、苦しくなったり。そんなの面倒なだけだと思ってた。ましてや、愛なんて。

 そんなの都合のいい【呪縛】だ。

 愛してる。お前を、あなたを、愛してる。親に幾度となく言われてきた。女に言われたことだってある。でも、本当に俺を想ってくれる人なんて、誰もいなかった。

 俺が、たった一人の跡取りだから。
 俺の、肩書きと権力が欲しいから。

 ただそれだけ。


『もっと、……奪って』


 だから彼女に、カオリに、そう言われたときは心底驚いた。同時にすごく、すごく、嬉しかった。

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