第17章 xxx ending √2:KEIJI
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憧れた生活がそこにはあった。
壁を作らずに接してくれる先輩。平凡な雑用をこなす毎日。上司はちょっと、かなり、粗雑で下品だけど。ああ見えて根はいい人だ。
俺がヤクザの息子だとか。
俺の両親が犯罪者だとか。
彼らはそんなこと気にしないで居てくれる。一緒に笑ってくれる。俺にとって、唯一、心安らげる場所。それがピンクオウルだった。
家業の経営悪化や、母のサイドビジネスであるハーブ売買の不調、白鳥沢組傘下への転身。諸々重なってオウルを去ることになったとき。
オーナーは言ってくれた。
『まあ、女買うときゃウチに来い』
サービスくらいはしてやらァ。
そう言って、照れ臭そうに白髪頭をかいて、笑っていた。慈愛に満ちた笑みだった。
木兎さんなんて、まるで、自分のことのように悲しんでくれて。『よーし!送別会だ!』なんて言って、お互いベロンベロンになるまで飲み明かして。
『あかーし!また遊ぼうな!』
屈託のない笑顔で言ってくれたんだ。
初めてできた友人だった。裏表がなくて、いつだって明るくて、まるで太陽のような木兎さん。
下の名前が【光太郎】だと知ったとき、なんて彼にピッタリなんだろう、って感心したことをよく覚えてる。
そんな、俺にとって特別な場所で、出会ったのが彼女だった。