第17章 xxx ending √2:KEIJI
連れられた先はゲーセンだった。
連れられた、というよりも、フラッと立ち寄ったという方が正しいかもしれない。
京治さんがゲーム。
ちょっと驚きだ。どちらかと言えばカジノとか、賭博場とか、そういうアングラで大人な遊びを嗜んでいそうなのに。
「貸しメダル1000円200枚……? こんな激安なレートで大丈夫なのかこの店」
うん。やっぱり嗜んでいらっしゃった。そうじゃない。そうじゃないよ京治さん。このお店のメダルは換金できませんからね。ここはそういうお店じゃありませんからね。
「ちょっとスポンサーと話してくる」
「いやスポンサーとかいませんから。居てもせいぜいエリアマネージャーくらいしかいませんから。京治さん、聞いてますか、京治さーん……?」
どっか行っちゃったよ。
どうすんの、この状況。
必死の制止虚しく、お店の奥へと消えていった彼。裏社会に詳しすぎて表に疎いとか、いや、それはそれで可愛いと思うけれども。
ポツンとひとり残された店内。
あちこちから流れるゲームのBGMに満ちたフロアで、ぼんやりと彼を待つ。
「カオリーーー!!!?」
馬鹿デカい声で名前を呼ばれた。やけに弾んだ低音。わざとらしい声音。懐かしい感覚。
うるっさいな。
思わずそう言って、あのゴールドの瞳を睨みつけたくなる。
くるりと首を45℃回した先。
格闘ゲーム【HAIKYU FIGHTER】の前に腰かけるミミズクヘッド。大袈裟にびっくりして私を見るのは、やっぱり、木兎光太郎だった。