第16章 xxx ending √1:TORU
コンロの火を止めて、彼女を横抱きでかかえて、リビングに移動する。
スプリングが軋む音。ソファベッドに彼女をそっと寝かせてから、嘘みたいに格好悪いスウェットと下着を脱いだ。
「………っ」
カオリが息を飲む気配。
無理もない、と思う。
俺の身体はあちこち青痰だらけだ。おまけに、背中には母から受けた根性焼きの痕がたーくさん。
いくら綺麗に着飾っても中身がこれじゃあね。だから、今まで他人の前では服を脱いだことがなかった。
客とセックスするときも『俺、着衣のほうが燃えるから』とか、適当に理由つけて断ってた。
でも、カオリは特別、だから。
「……触って?」
「! でも、……いいの?」
「カオリに触ってほしい」
つ、と触れる彼女の体温。
700℃で焼かれた肌。求めて、憧れて、焦がれつづけた36℃がこんなにも愛おしい。触れてもらうって、とても幸せなことだ。
再びの涙。頬をつたう。
俺、知らなかったよ。嬉しくても涙って出るんだね。幸せでもヒトは、泣くんだ。
「……っカオリ、」
「い、痛かった……!?」
「ううん。きもちいいよ」
ありがとう。