• テキストサイズ

(R18) Moulin Rouge (HQ)

第16章 xxx ending √1:TORU



 コンロの火を止めて、彼女を横抱きでかかえて、リビングに移動する。

 スプリングが軋む音。ソファベッドに彼女をそっと寝かせてから、嘘みたいに格好悪いスウェットと下着を脱いだ。


「………っ」


 カオリが息を飲む気配。

 無理もない、と思う。
 俺の身体はあちこち青痰だらけだ。おまけに、背中には母から受けた根性焼きの痕がたーくさん。

 いくら綺麗に着飾っても中身がこれじゃあね。だから、今まで他人の前では服を脱いだことがなかった。

 客とセックスするときも『俺、着衣のほうが燃えるから』とか、適当に理由つけて断ってた。

 でも、カオリは特別、だから。


「……触って?」

「! でも、……いいの?」

「カオリに触ってほしい」


 つ、と触れる彼女の体温。

 700℃で焼かれた肌。求めて、憧れて、焦がれつづけた36℃がこんなにも愛おしい。触れてもらうって、とても幸せなことだ。

 再びの涙。頬をつたう。
 俺、知らなかったよ。嬉しくても涙って出るんだね。幸せでもヒトは、泣くんだ。


「……っカオリ、」

「い、痛かった……!?」

「ううん。きもちいいよ」




 ありがとう。




/ 254ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp