第16章 xxx ending √1:TORU
「徹くんてさ、体温高いでしょ」
「え……?」
「だって、ほら、すごくあったかい」
目はフライパンに向けたまま。
カオリは腕を伸ばして、俺の頬に触れた。冷たい手。まるで氷みたい。
「末端冷え性なのね、私」
「そ、う……なんだ」
「だからこうしてると心地いいの」
人間ホッカイロ。なんちゃって。そうおどけてみせる彼女の言葉を、最後まで聞く余裕なんて、なかった。
一気にきもちが溢れだす。
カオリに触れたい。カオリに優しくしたい。カオリに喜んでほしい。カオリがうれしい、心地いい、って思うこと。
ぜんぶぜんぶ、してあげたい。
「カオリ……っ」
切羽詰まった声で囁いて、柄にもなく、雰囲気とか無視してキッチンで彼女にキスをする。
菜箸を握る細い指。
冷たくて愛しい手。
俺の掌で包みこんで、温めて、熱を分けあう。共有する。
重なる唇は狂おしく甘い。
柔肌にふっくらと実ったリップに口付けを。食むよう啄んで。角度を変えて。数えきれないくらい。
「ん、ぅ……っ」
おそるおそる、舌を入れてみた。
彼女から可愛らしい声が漏れる。よかった。怒られなかった。拒絶も、してない、よね。
カオリの反応を伺うように。
ぺろ、と彼女の熟れた舌を舐める。あむ、と甘噛みしてみる。これもお咎めなし。
とくん
とくん
鼓動のテンポがあがっていく。