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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第16章 xxx ending √1:TORU



 脱衣所に出て、ふと気付く。

 彼女がゲロ臭いと称した俺のスーツ。
 馴染みのテーラーにしたためてもらった、オートクチュールの、超が付く高級品。

 ……洗濯機で洗われてる。

 その証拠に、ドラム式の家電はゴウンゴウンと音を立ててるし、洗面台には見覚えのあるカフスやらラベルピンが置かれている。しかも無雑作に。

 ……総額、いくらすると思ってるのかな。ううん。文句じゃないよ。もう既にボロボロだったしサ。彼女には本当に感謝してる。してるけどね。


「せめて柔軟剤はいれてほしかった」


 俺はその言葉を最後に、がっくりと項垂れるのであった。



 ガチャッ!バタン!



 玄関で物音がして、その直後。

「徹くーん、お風呂出たー?」

 聞こえたのはのんびりした声。

 どこかに行っていたのだろうか。
 彼女の足音と一緒に、ガサガサ、とビニール袋の揺れる音がする。

「えっと、いま、出たとこ」

「パンツと着替え買ってきたの」

「え、あ、うん……ありがと」

 何だろう。すごく恥ずかしい。
 女の子にパンツ買ってきてもらうって、それ、どんな羞恥プレイなの。俺聞いたことない。

「サイズとか好みとか分かんなかったから、適当に選んじゃったけど……今日はこれで我慢してね。ここに置いておくから」

 カサ、控えめに袋が置かれる。

 カオリのスリッパがパタパタと台所に消えていくのを確認して、小さく扉を開けた。


「……嘘、でしょ、何これ」


 用意されたのはトランクス。
 しかも縦縞。青と白。マジ典型的。昭和かよ。お父さんかよ。今どき50代でもこんなもさいパンツ履かないよ!? 

 こんな、ダサイ下着買ってくるなんて。

「……カオリは俺のお母ちゃんですか」

 ふ、とちっちゃな笑みが零れた。

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