第16章 xxx ending √1:TORU
ふわり ふわり
こじんまりとしたバスルームに浮かぶシャボン玉。熱いお湯を浴びると、ピリリ、肌に刺すような痛みを感じる。
身体中にできた痣。
鏡に映る自分は、目も当てられないようなヒドイ姿だった。
「……当然の報い、だよね」
こうして、俺がまだ生きていること自体、奇跡なのだ。そして、それは同時に罪でもある。
多くを奪って生きてきた。
たくさん、傷付けてきた。
自分が傷ついたから。自分がツライ思いをしたから。だから、もう自分が傷付くのは嫌だから、他人を傷付けてきた。
ことさら【女性】という生き物には冷たくして、もう二度と、母親の亡霊が蘇りませんようにって。そうやって自分を守ってきた。
そんなの間違ってるのにね。
何もかも自分で壊したくせに、死ぬよりも辛い拷問を受けて、それでやっと気付いたんだ。【他人(ひと)の痛み】ってやつに。
心底、俺は愚かしい人間だと思う。
『ひとりじゃないよ』
こんな俺でも、まだ、誰かを幸せにできるだろうか。その資格はあるのだろうか。
『私がいる。ここにいる。』
俺の過去を。
俺の、罪を。
すべてを受け入れて、許してくれた、彼女のために。俺は、──何ができるのだろう。