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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第16章 xxx ending √1:TORU



「ごめんね、カオリ……ごめんなさい。俺、最低なこと……岩ちゃんにも、……ごめ、なさい……っ」

 情けない懺悔だと思う。
 でも、俺にはこれしか言うことができないから。

 だから謝った。何度も。何度でも。

 声が枯れるまで「ごめんなさい」を繰りかえして、その間、彼女はずっと背をさすってくれた。

「私も、……ごめんね」

 ぽつり、ぽつり。
 カオリが教えてくれる。

 岩ちゃんのこと。

 彼が考えていたこと。俺が思っている以上に、彼は、俺を想ってくれていたこと。埋められない溝。いつの間にか広がってしまった。そして、もう、二度と彼には会えないということ。

 この町じゃないどこか。

 俺たちが出会った町ではない、どこか遠いところで、彼はひとり暮らしていくのだという。

 俺は、彼に謝る資格すらない。

 だけど、もし。
 もし願うことが許されるのであれば、彼の、幸せを。彼がいつか幸せになってくれることを、願いたい。そう思った。


「徹くん」


 ふと、彼女の体温が離れる。

「変なにおいがする」

 思わず耳を疑った。
 え、いま、何、なんて言ったのこの子。明らかにそういうこと言う雰囲気ではない、よね。

 しかし、カオリは頑として態度を変えようとはしなかった。小鼻すらつまんで、俺を、生ゴミを見るような目で見つめている。

「……シャワー浴びてきなよ」

「え、ああ、うん、……うん?」

「ゲロと同じ臭いだよそれ」

 拝啓、どこかで相変わらず男を漁っているのであろう、俺の母さん。

 俺は今日、生まれて初めて、女性にゲロ呼ばわりされました。及川徹、一生の不覚です。

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